着物スタイリング展「着物遺伝子」
(2014年 3月21日〜25日)
の様子をご紹介します。
ほんの4〜50年程前までは、
まだ人々が着物で暮らしていた日本。
今ではすっかりなくなってしまった
「普通の人が普通に着ていた着物」を
今様にちょいとおしゃれに展示して、
私達の中に潜む「着物遺伝子」を
呼び起こし、日本の良さを感じて
頂けたらと思います。
吉田道呼
フォトギャラリー ごゆっくりどうぞ
ここからは解説
生活の着物
<割烹着>
着物で家仕事するのに欠かせないのが割烹着。
私は、お料理の時や着付けのお仕事の時に使います。
なぜか白色にこだわります。
着物は八丈島の黄八丈。
半幅帯は、両袖だけが切り売りしていたのを求めて
裏地を付け、半幅帯に仕立てたものです。
<手織りのかすり>
私の故郷鳥取は、絣の産地で「倉吉絣」「弓浜絣」が有名です。雪深い中国産地の山間の村では、冬は外仕事ができないの で、女達の多くは家の中で綿を紡いで染めて、織り機で織るの
が家での冬仕事だったそうです。それは趣味や人に見せる物ではなく暮らしの一部です。この手織りの着物もそのひとつです。
一般の人でこれだけの織る技術、デザイン力には脱帽です。
仕立ても丁寧にされてます。
50年程前の、昭和40年代の中頃、家でおばあちゃんが織っていた、実物の絣着物を見た事がありますが、「何ともしみじみ良い感じ」な織物でした。現代は全く無くなりましたが、そういう生活があったのだと肌で感じる瞬間でした。
半幅帯は「丹波布」。栗で染めた栗色の糸が特色の1つでもあり
ます。こちらもおそらく素人の手織りと聞いています。
<春の旅立ち>
小さい旅人がたくさんいる小紋。東海道を歩いているのかな?
やじさん、きたさんもいるような…。色合いと、旅人の絵から→「旅立ち」にかこつけて、毎年卒業・入学の頃の春先に着用してます。
<駆け落ち>
松の地模様が施された淡いピンク色に儚さを感じてしまい、組 み合わせを考える最中は隣の男性と駆け落ちする気持ちになっ てしまいました。まるで曾根崎心中のお初の気持ち。
帯はろうけつ染め。
<大島紬 男物>
実際にもイケメンに着付けしたのが原因か、この着物の横には 女の人を置きたくなります。茶の大島紬に根付けとハンティン グで個性をだして。
<ごりょんはんの夏>
眼福!眼福!! 斬新な図柄、刺繍、染、筆で書かれた線を
堪能して下さい。
夏に「黒!」
これには、真っ白な半衿!下に透ける襦袢も真っ白で。
粋なごりょんはんを作ってみました。
(ごりょうんさはん=古い大阪言葉・女将さん、奥さん)
上の動画で帯の後ろも見れますよ。
<笑門福来>
着物好きが、軽く柔らかい着心地の良さと、風合いの良さから
一度は求めたくなる無地の結城紬。
こちらは繭を広げて真綿にし、手でつむいだ本物の本場結城紬
です。三回程洗い張りしており、固さがとれて良い風合いを出している最中。軽くて柔らかく、空気を含むために着ていて温 かいので冬に着ます。合わせた羽織は、小さく「笑」「門」「福」「来」の文字と、お福さんの絵が。
松の内過ぎてから豆まきまでの季節に着たくなります。
<気軽に銘仙>
着物は銘仙(めいせん)、帯は男物の大人の兵児帯。 ぐるぐると巻いてるだけです。とっても着付けが楽♪ 皆様もいかがですか?
<石川五エ門風の袴姿>
大工の友人が、古材を使った家具の個展中に「石川五エ門になる」とリクエストを頂きスタイリングしました。五エ門と言えど大工さん。背紋には「ノコギリと金槌」をニットとフェザーで作りました。
<着物遺伝子>
会場のカフェBONTEオーナーの少女時代。お母様とお婆様が
糸の端をくくり、それが大きな糸の固まりになると呉服屋さん へ預け、着物になって返ってきたという話を聞いた時、まだ手 の届くほんの4、50年前までは生活の中に着物があったんだ!私が少女の頃、祖母や祖父は着物の時が多かったな。日本人の中には「着物遺伝子」が潜んでいるはず!!
今回の展示会のきっかけとなった着物です。
扇文様の小紋には、鼓と笛の帯を。
<振り袖でウエディング>
皇室の紀宮様が御結婚披露宴の際、お母様皇后様のお着物をお
召しでした。この振り袖も、お母様の振り袖をお嬢様が自らの
ウエディングパーティーの時に着用されたました。
半襟を三重に重ね、箱迫、末広、しごき帯で、振り袖でもすっ
かり花嫁さんです。 新郎の袴姿、これは現代のスーツ地を使っ
た紋付袴です。汚しても正絹ほど気にならず、お手入れの点で
も気楽に着用できそうです。 羽織には刺繍紋が施されていま
す。振り袖で花嫁。貴女もいかがですか?
<鳳凰柄の振袖 五つ紋>
紫の地色に触発され、肌着の紅絹(もみ)をチラっと見せてま
す。裾にある鳳凰文様が美しい、衽の裏地は本来八掛けと言わ れる裏地を使いますが、こちらは表と同じ生地が贅沢に使われ ています。鳳凰は吉祥文様の代表で格調高い文様で、飛鳥時代 から用いられている様で、太古から親しまれた御目出度い文様 なのですね。現代でも通用するデザインです。
こんなに可愛いゲストが華を添えてくれました。
ブライスもバービーも、お着物は手作りです。
ブライスは足袋と草履までも。
私からは、裏地を提案。
着物をリフォームする時、『裏地』に凝ると楽しいです。
私の一押しは、ブリーフ型の国旗柄の裏地です♡
例えば、無地の紬着物の裏地にいかがでしょう?